
変易と不易 その⑤〜時の流れが持つ正しい法則〜
「線」で追って行く。
人生は未来に向かって歩んで行く為、未来に向けて線を描いて行く目線を持ちたいもの。

その為には、時の流れが持つ正しい法則を知る必要があるのです。
皆さんは、正しい時の流れとは、何のことを指しているのだと思いますか?
それは、春夏秋冬です。
「四季」のことを指しているのです。

日本の歴史は、神武天皇即位から2865年の悠久の月日を巡って来ましたが、

その間、一度たりとも春夏秋冬の順に季節が変わらなかったことなど無いのです。
夏の後、秋を置き去りにして冬が来たりしないし、冬の後で急に実りの秋がやって来たりしないのです。
春夏秋冬は宇宙の法則であり、自然の摂理であります。
これを、「不易」(変わらないこと)と呼びます。
それと同時に、必ず季節は春夏秋冬の順に巡って行きます。
かつて、一度たりとも季節が移りかわらなかったことなど無いのです。

これを、「変易」(変わること)と呼びます。
季節は常に変わって行くが、季節が巡ること自体は、決して変わらない。
これが変易と不易が教えてくれる正しい時の流れなのです。
これこそが「線」が辿る道なのです。
改めて、四季について考察してみましょう。
春は生命が息を吹き返し、新たな始まりと生まれ変わりを教えてくれます。新しい命は暖かく清々しく、しかし、まだまだ弱いものですが、誰もが希望を抱かずにはいられません。

やがて夏が来て、その命は強く存在を発揮し、ここに居るのだと誰もが自分を示します。木々は生い茂り、蝉は全開で鳴き謡い、生命の力強さを其処彼処で感じることができるのです。

精一杯生命を発揮し切った夏が終わりを迎える頃、穏やかな秋がやって来ます。生命は終わりを迎える最後の瞬間に豊かな実りを残し、若く猛々しい夏の草木の色味とは真逆の、哀愁さえ感じさせる美しい色合いを身に付け、その財産を他の生命に与え、その幕を閉じるのです。

冬は全ての色を奪い、全ての生命を終わらせる死の到来です。冷たく厳しいこの季節は、終わりが無ければ、始まりはなく、始まったものは、必ず終わりを迎えるという悲しくも確かな真実を教えてくれます。

これが全てに当て嵌まる宇宙の法則であり、自然の摂理なのです。
私達は、この大宇宙の法則の中で、自分の人生をどう描き、幸せに命の旅を終わらせて行くかというような、約80年のツーリスト(旅行客)でしかありません。
であれば80年を、特に後半40年を豊かに実りある人生にする為、私達は先ず、今現在の自分自身に、どんな季節が訪れているのかを知らなければ、ひとつひとつの努力が不毛に終わってしまうかも知れません。
例えば貴方の季節が今、冬なのであれば、もし何か新しいことに挑戦したとしても、望む結果とはならないはずです。
それは、冬に草木の種を蒔いたところで、決して冬の冷え切った大地から芽が出ることは無く、種は凍りついて死んでしまうでしょう。

種に問題があったわけではありません。
冬に蒔いたのが良くなかったのです。
これを例にとり、人生における四季を知ることが、線でものごとを追うのに参考になります。
私の経験から鑑みると、人生を通して四季は訪れていると考えられます。
ただ、364日で1周しない為、気付きにくいかも知れません。
また、実際の季節が夏でも、貴方の人生の季節は冬であるかも知れません。
そして、その冬はもう、5年近く続いているかも知れません。
実際の四季と異なり、人生の四季はもっとゆっくりとした時間軸で春夏秋冬を繰り返しておるように感じます。
更に、春夏秋冬それぞれの季節を、長くしたり、短くしたりと、自分次第でコントロールすることができるようにも感じております。
これを「変易」と「不易」、「陰」と「陽」、「太極」や「時中」、「兆し」といった易経になぞらってお話しします。

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